こんにちは、丸鈴薬局(@marusuzu_ph)です。
重たい荷物を運ぼうとしたら急に腰に痛みが出た、仕事が重労働で腰痛に悩まされている、という方は多いのではないでしょうか。ご自身だけでなく、身近な人が腰痛を抱えていて困っているということもあるかもしれません。
今回は、腰痛が発症する原因や症状、なぜ症状が長引くのかなどについてまとめました。自宅でできる対処方法についてもご紹介していますので、腰痛で悩んでいる方は参考にしてください。
腰痛の原因や症状について詳しく解説します!
目次
腰痛の原因は?
腰痛はさまざまな原因で起こりますが、大きく分けると腰(腰椎)そのものに原因がある場合と、それ以外に原因がある場合があります。それぞれ、主な病名などをご説明します。
腰(腰椎)そのものに原因がある場合
腰にある骨(腰椎)に病気や怪我が起きると、腰痛を発症することが多くあります。以下がその代表的な病気です。
腰椎椎間板ヘルニア
首から腰を支える骨(椎骨)の間には、「椎間板」と呼ばれるクッションのような役割をする組織があります。
この弾力性がある椎間板のおかげで背骨や腰骨が支えられており、前後左右に動かすことができるのです。
背骨や腰骨のそばには、神経が通っています。
椎間板が何らかの理由で本来あるべき場所からはみ出してしまい、そばにある神経を圧迫することで腰や臀部に痛みが生じます。
下肢にに痛みやしびれが生じることもあり(坐骨神経痛)、症状がひどくなると力が入りにくくなったり、排尿障害が起きたりします。
腰部脊柱管狭窄症
脊柱管とは神経がとおっているトンネルのようなもので、椎骨や椎間板、靭帯などで形成されています。
この脊柱管が、神経が通っている加齢や病気などによって椎間板が変性したり、骨に突起のようなもの(骨棘)ができたりすることで狭くなり、神経が圧迫された状態が腰部脊柱管狭窄症です。
安静にしていると症状はほとんどないものの、歩き始めると徐々に痛みやしびれなどが出てきて歩きにくくなります。
このように長時間歩くことができず、休憩と歩行を繰り返すような状態を「間歇性跛行(かんけつせいはこう)」といい、腰部脊柱管狭窄症の特徴的な症状です。
腰椎圧迫骨折
腰椎圧迫骨折は、外部からの圧力によって腰椎が折れてしまった状態のことを言います。
骨粗鬆症によって腰椎圧迫骨折を起こす高齢者の方が多く、ちょっとした尻もちのような軽い圧力でも生じることがあります。
複数の場所に圧迫骨折が起こると、だんだんと背が低くなって背中も丸くなっていきます。
高齢者に起きる圧迫骨折は痛みを伴わないことも多いですが、圧力のかかり方や骨折が起きた場所によっては痛みや下肢の麻痺などが起きることもあります。
これらのほか、腰椎分離症や腰椎すべり症、化膿性脊椎炎や脊椎カリエスなどの脊椎感染症、脊椎や脊髄などにできた腫瘍、脱臼、圧迫骨折以外の骨折なども原因としてあげられます。
腰(腰椎)以外に原因がある場合
腰痛というと腰椎そのものに原因があるようなイメージをする方も多いかもしれませんが、内臓や血管などの病気が原因で起きていることもあります。
- 胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胆嚢炎、膵臓炎など消化器系の病気
- 尿路結石、腎盂腎炎など泌尿器系の病気
- 子宮筋腫や子宮内膜症など婦人科系の病気
- 解離性大動脈瘤、心筋梗塞など循環器系の病気
これらの病気が原因となっている場合は、早期に治療をすることが重要です。
消化器系であれば吐き気や嘔吐、血便、泌尿器系であれば血尿、婦人科系であれば不正出血などほかの症状を伴うこともありますので、それらの自覚症状がある方はすみやかに受診しましょう。
ぎっくり腰ってどういう状態?
重いものを持ったときなどに、急に腰に痛みがはしる「ぎっくり腰」。
正式には「急性腰痛症」と言い、病名ではなく急に起きた腰痛を総称したものです。
重いものを持ったときのほか、腰をひねる動作をしたときなどに起こりやすいですが、何もしていなくても突然発症することもあります。
原因はさまざまですが、過剰な力がかかって椎骨・椎間板・靭帯などを痛めることが多いとされています。
上記で説明したような椎間板ヘルニアなどが原因となっていることもあるので、強い痛みを感じたら一度早めに受診した方が良いでしょう。
腰痛は原因がはっきりしないことが多い?
ここまで解説したように腰痛の原因はさまざまなため、はっきりと原因がわかる腰痛は全体の15%ほどで、その多くは原因がはっきりとわかりません。
生活習慣や働く環境は、腰痛の発症に影響を与えます。
荷物の配送を行う人や、看護・介護職など、腰に負担のかかりやすい仕事をしている人は、慢性的な腰痛を抱える傾向にあります。
デスクワークが多い人など長時間同じ姿勢でいることが多い人も、腰痛を発症しやすいです。
ストレスや不眠が原因になっていることも、珍しくはありません。
腰痛を長く訴えていたけれど、実はうつ病などの精神科系の病気だった、ということもあります。
ストレスが溜まりにくい環境を整えることも、腰痛対策には大切だと言えるでしょう。
腰痛の症状
腰痛とひとことで言っても、症状の現れ方は人によって異なります。
どんなときに、どこに痛みが生じるかによって原因がわかることもあるので、正しい対策をするためにも、まずは症状を詳しく把握しましょう。
- 前かがみになると痛む
- 腰を反ったときに痛む
- 激しく痛む
- 腰が重たく感じる
- じっとしていても痛い
- 横になると楽になる
- 足にしびれがある
- 歩いているとだんだんつらくなる
- 朝起きるときに痛みが出る
前屈時に痛みがある場合は椎間板に問題があったり、足にしびれがあるときは椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症を疑ったりします。
痛みが出る場所によって、内臓の病気に関連している可能性を考える場合もあります。
受診する際は、こうした情報を正確に医師に伝えるようにしましょう。
どうして腰痛は長引くの?
長期にわたって腰痛に悩まされている、なかなか腰痛が解消しなくて困っている…という方は少なくないのではないでしょうか。
ぎっくり腰のような急性腰痛は短期間で治ることが多いですが、痛みが長く残って慢性腰痛になることもあります。
慢性腰痛は原因がはっきりしないことも多く、日常に支障をきたす人もいます。
慢性腰痛を引き起こす原因は複雑で、病気が原因のこともありますし、運動不足や蓄積した疲労、肥満、心的原因が重なっていることもあります。
腰痛が起きたことを恐れて動かさないようにしていると、かえって筋肉が硬くなって痛みが長引いていたり、痛みに敏感になっていたりする可能性もあるでしょう。
自己対処で済ませようとすると、痛みが悪化したり長引いたりするかもしれません。
専門家に相談した上で、それぞれにあった対処方法を検討するようにしましょう。
腰痛の対策
腰痛にもさまざまな原因や症状があることがわかりました。では、腰痛が起きたらどのように対処したら良いのでしょうか。
まずは病院を受診しよう
腰痛の多くは原因が分からないと言われていますが、はっきりとした原因がある場合ももちろんあります。
早期に治療が必要な病気である可能性もゼロではありませんので、腰痛を発症した場合は、まず病院を受診するようにしましょう。
原因を確認しないまま体操や揉みほぐしなどをしていると、かえって悪化してしまう可能性もあります。
きちんと体の状態を確認した上で対処をすることが大切です。特に以下のような場合には、早めに病院を受診した方が良いでしょう。
- 我慢できないほどの痛みがある
- 安静にしても治らず、症状が徐々に悪化している
- 痛み以外にも症状がある
- 腰以外の場所にも痛みがある
- 熱が出たり、痛む場所が腫れていたりする
- 下半身にしびれがある など
上記の場合以外でも、心配な場合は一度病院で診てもらうことをおすすめします。
病院でできる治療
腰痛を発症したら、まず受診するべき病院は整形外科です。
そこで問診やレントゲン撮影、MRIなどの検査を必要に応じて行います。もしも整形外科以外の病気が疑われる場合は、ほかの病院を紹介してもらえますので、そちらを受診しましょう。
整形外科での治療が必要と判断された場合、症状や原因に合わせて以下のような治療が行われます。
薬を使った治療
急性腰痛症に対しては、消炎鎮痛剤や筋弛緩薬が多く用いられます。
慢性腰痛のようになかなか痛みが取れない場合には、オピオイド(麻薬製鎮痛薬)が使われる場合もあります。
精神的なものが原因で腰痛を発症していると考えられる人に対しては、抗うつ薬などが処方されることもあります。
理学療法(リハビリテーション)
医師や理学療法士の指導を受けながら、リハビリテーションを行います。リハビリにもさまざまな種類がありますが、よく行われているのは以下のようなものです。
- 運動療法…運動やマッサージで筋肉をほぐして血流を良くする
- 温熱療法…症状のある場所を温めて、痛みを起こす物質の除去を促す
- 電気刺激療法…低周波の電気刺激を与え、痛みを伝達する神経の働きを抑制する
こうしたリハビリは、1回やればすぐに改善するものではなく、継続して行う必要があります。
どのようなリハビリを行うかは、その人の症状や原因などをみて判断されます。
神経ブロック療法
腰痛が強い場合に行われることがあるのが、神経ブロック療法です。
神経やその周辺に局所麻酔薬を注射することで、痛みが伝わる神経の経路を直接ブロックし、痛みをピンポイントで抑えることができます。
これも1回で終わるものではなく、複数回行うことが多いです。
カウンセリング・認知行動療法
精神的な要因が強く影響していると考えられる場合は、精神科や心療内科と協力して、カウンセリングや認知行動療法が行われることもあります。
心の負担となっている部分を緩和していくだけでなく、どんな行動をしたときに痛みが出るかを把握し、日常でできることを増やしていくという目的もあります。
自宅でできる対策
腰痛が起きたとき、自宅でできることももちろんあります。
急な受診を要する状態でなければ、まずは自宅で様子を見るという選択肢もあるでしょう。
症状が激しいときはまず休む
急性腰痛で症状が出たばかりのときは、まずは安静にして腰に負担をかけないようにしましょう。
仕事で負担がかかる場面が多い場合は、ほかの人に代わってもらったり休んだりして、無理をしないことが大切です。
※おすすめの腰痛マットレスについてはこちらの記事で紹介しています
症状が治まってきたら普段通りに動く
腰痛があるからといって、長い間じっとしていたら腰回りの筋肉が硬くなって、余計に症状が悪化してしまうかもしれません。
急性症状が治まってきたら、できる限り普段通りの生活をすることが大切です。
もちろん、痛みが残っているのに仕事などの無理をすることは禁物です。無理のない範囲でいつも通りの生活へ戻していきましょう。
市販薬やサポーターを活用する
ドラッグストアなどで市販されているものでも、腰痛の対処をすることは可能です。
市販薬であれば、ロキソプロフェンナトリウム水和物やインドメタシンなど非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が痛みを抑えるのに効果があります。
内服薬と湿布などの外用薬がありますので、症状に合わせて使いましょう。
腰痛はじっとしているよりも、動くようにした方が回復しやすいとされています。
動くことに不安があるのであれば、腰を支えるサポーターを活用すると良いでしょう。
腰痛を予防するためにできること
腰痛を予防するためには、良い姿勢を心がけることが大切です。
猫背になったり腰を反ったりしないよう、背筋をきちんと伸ばすようにしましょう。中腰や前かがみなどの姿勢は腰痛を起こしやすいので、注意が必要です。
デスクワークなどの人は、同じ姿勢が長く続かないように適宜体を動かしたり、ストレッチをしたりするようにしましょう。ウォーキングなどの運動を日常的に行って、全身の筋力を保つことも大切です。
筋肉の緊張をほぐして精神的にリラックスするためには、ゆっくりと入浴するのも良い方法です。毎日は難しいという方でも、ときどき湯船に浸かる時間をつくって身体を温めることをおすすめします。
好きな入浴剤などを使えば、気分転換やストレス解消にもつながるかもしれません。
腰痛の原因・症状 まとめ
腰痛があると思うように動けず、日常生活や仕事に支障をきたします。
長く続く慢性腰痛を持っていると、動けないことによる精神的なストレスも大きいでしょう。
できるだけ腰痛を起こさないように気をつけること、もしも発症したら無理をせずに早めに対処することが大切です。
何かの病気が原因になっていることもありますので、痛みが強い方や長く続く方などは特に、一度受診されることをおすすめします。
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※記事作成の参考にさせていただいたサイト
- 疼痛.jp:https://toutsu.jp/
- 興和株式会社 ハレバレ:https://hc.kowa.co.jp/
- 第一三共ヘルスケア株式会社:https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/
- 公益社団法人 日本整形外科学会:https://www.joa.or.jp/
- オムロン ヘルスケア株式会社:https://www.healthcare.omron.co.jp/
- 一般社団法人 日本骨折治療学会:https://www.jsfr.jp/ip
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